御落胤美貌剣士という主人公は格好いいか?

架空の人物で作り話ですが、川口松太郎氏の原作で、「新吾十番勝負」という歴史小説があり、映画化やテレビ化にもなっています。日本を代表する著名な俳優さんたちが演じられ、東映の花形映画でもありました。小説を読んだ感じでは、映画などとは多少違う面もありますが、初代に演じられた時の映画は、原作にわりと忠実に描かれていたと感じます。 この「葵新吾」という主人公は、江戸時代の八代将軍吉宗の御落胤という設定で、将軍の落としだねというのが明らかになって、物語が起承転結するわけですが、何故だか昭和の時代から御落胤モノや正当な生まれではない人物がヒーローとなり、盤上の上に立っていると、勘違いしているように感じられます。 同小説を読んでいる分でも、映画やテレビでも、ちょっと気に入らないことがあれば、すぐに切った張ったするような行為は、女の腐った女々しい野郎だな、と嫌悪感を覚えるシーンもいつくかありました。 本当にこれが、格好の良いヒーロー像なのかなと、疑問に感じることが今でもあります。 育ててもらった養父や幼馴染に対しても、ちょっと甘えているのではないかと感じられ、男らしさがないようにも見えました。 主人公を演じていた俳優さんたちは、確かに美しい人ばかりですが、昭和の時代の理想のヒーロー像がこれでは、日本の先が思い知らされるなとも心配になります。 日本男児たるもの、もっと逞しくあってほしいですし、御落胤として生んでしまった二親に対して思慕を募らせるところも、男性として、あまり精神面の強さは感じられませんでした。